刊行書籍

マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件

〈編著〉松井彰彦・塔島ひろみ 

異世界から来た!? いえ、転生したわけではありません

兄の性暴力で子ども時代を失った人、突然に難病に襲われ死の淵を見た人、アングラミュージシャンの夫と離婚しシングルマザーとなった人、トランスジェンダーゆえに説明し続けなければならない人、精神障害のある母親に育てられた人、幼年時代に親と離れて施設で暮らした身体障害のある人、顔に生まれつき変形がある人、元たまの人、テント村で暮らす人……。「フツウから外れた」とされる人々がつづるライフストーリー14編を収載。社会の不平等や偏見、家族のトラブルや無理解などに悩み、抗い、時にやりすごして今、それぞれ何を思うのか――。

 

 

本書に登場するのは、いわゆる〈マジョリティ〉や〈フツウ〉からはみ出しているとされる人たちです。世間からは異なる者、弱者とされ、差別されたり、排除されたりしがちなかれらですが、かわいそうな境遇のかわいそうな話を伝えたいわけでも、感動してもらいたいわけでもありません。

この生きにくい社会で、一生懸命もがいて、生きにくさと戦って、〈マジョリティ〉や〈フツウ〉の枠内で生きているあなたと、この本に出てくる人たちと、どこか似てはいないだろうか? と問いかけたいのです。さらに、フツウからはみ出さないようにがんばっているあなたと、かれらをわけている線はいったい何なのだろうかと。

多様性を尊重しようといいながら、マジョリティではないと生きにくい社会です。いや、マジョリティに属するはずなのに、生きにくさを感じている人も少なからずいます。それはいったいなぜなのか。一人ひとりのエッセイから、そんなことにも思いをめぐらせていただければ、うれしいです。

〈著者〉小林エリコ/西倉実季/吉野靫/加納土/ナガノハル/村山美和/田中恵美子/小川てつオ/丹羽太一/アベベ・サレシラシェ・アマレ/石川浩司/前川直哉

はじめに (塔島ひろみ)

Ⅰ 「フツウ」の世界からはじかれて暮らすことになりましたが、元気でやっています

地獄から社会を眺めて(小林エリコ)
僕はサイボーグ(松井彰彦)
素顔をさらす、さらせない、どちらも自分(西倉実季)
調整、説明、証明をめぐるコスト(吉野 靫)

Ⅱ「フツウ」と違う家族も悪くない、「フツウ」にこだわらなければ

「沈没家族」で育った土と今の僕(加納 土)
狂人の領地(ナガノハル)
家族を感じ、家族を思う(村山美和)
私たちの家族はどう見えますか? ――知的に障害があるといわれた私たちが育む家族 (田中恵美子)
社会が敵だったときからのこと(塔島ひろみ)

Ⅲ 「居場所」がないので、つくってみました

テント村にて(小川てつオ)
自分の家を自分で考える(丹羽太一)
1万キロ離れた国での居場所(アベベ・サレシラシェ・アマレ)
居場所放浪記(石川浩司)
マジョリティだったり、マイノリティだったりする私――権力の誤配をただし続けていくために(前川直哉)

おわりに (松井彰彦)
謝辞

著者について

〈編著者〉
松井彰彦●1962年生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。日本経済学会会長、東京大学経済学研究科副研究科長在任中に心サルコイドーシスにより入院、障害者手帳を取得。エコノメトリック・ソサエティ・フェロー(終身特別会員)。著書に『市場(スーク)の中の女の子』(PHP)、『高校生からのゲーム理論』(ちくまプリマ―新書)など。
塔島ひろみ●1962年東京生まれ。『ユリイカ』1984年度新鋭詩人。1987年ミニコミ「車掌」創刊。編集長として現在も発行を続けている。同誌から生まれた著書に『楽しい〔つづり方〕教室』(出版研)『鈴木の人』(洋泉社)など。1988年より東京大学大学院経済学研究科にて非常勤で事務職を務める。
マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件

マイノリティだと思っていたらマジョリティだった件

〈編著〉松井彰彦・塔島ひろみ 

装丁:末吉亮(図工ファイブ)

2022年10月5日・刊 定価:1,800円+税 304ページ ISBN: 978-4-909753-14-4 ソフトカバー 装画 大竹サラ

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